エイトシーのオタク語り

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行きどころの無いオタクの独り言

メタルギア5と「1984年」についての話

 どうもエイトシーです。

 

 もはや言うまでもありませんが、私はメタルギアが大好きです。

 

eight-c.hatenablog.com

 

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 メタルギア愛についてはもうすでに書いているのでもう書きません。

 

 実はメタルギアを語る上では、決して避けることのできない存在がいます。メタルギアシリーズの生みの親にして「神」、小島秀夫監督です。そんな監督ですが、ゲーム以外の映画やアニメ、小説などの芸術にとても精通している方で、そういうオマージュ的な演出がゲームの随所で散見されたりもします。

 

 そして特に「メタルギア5」では、根幹のストーリー展開に関わっているある小説が存在します。それが「1984年」です。

 

 

 私、少し前に自身の読書不足を危惧し、なんとか活字を読もうと文庫版の「1984年」を読了しています。というわけで、両作品を見た上で、「1984年」が、どの様に「メタルギア5」に関わっているのかを喋ってみたいと思います。

 

警告

 この記事には、「1984年」、および「メタルギアソリッドファントムペイン」のストーリーのネタバレを含みます。どちらの作品もちゃんと楽しみたいというかたは、どうか記事を閉じることをお願いいたします。

 

 そもそも、「1984年」という小説を知らない人も多いと思うのでちょっと解説を…

 

 この小説はタイトルからお察しの通り歴史小説…ではなく、1948年に書かれた「近未来・監視社会ディストピア」小説です。舞台は現在のイギリス辺りにある国家「ユーラシア」。ビッグブラザーという独裁者が支配する国家で、国民の生活はテレビとカメラ、マイクを搭載した「テレスクリーン」という装置で監視されています。そして至るところにビッグブラザーのポスターがあり、そこには「BIG BROTHER IS WATCHING YOU(ビッグブラザーはお前を見ている)」と書かれています。アップルのCMやら平沢進の楽曲のモチーフになったりもしてます。

 

 …と、話の大筋を語ったところで、メタルギア5との関わりについて語りましょう。

 

1、そもそも出てくる

 

 はい、そもそも出てきます。「グラウンドゼロズ」にて、ある敵の会話を盗み聞きすると、この小説についての話をしています。ただ、敵兵は共産国の方々なので、「我々の思想が支配する”ユートピア”小説らしい」という文面の会話をしています…

 というか、このゲームの舞台がもろ1984年ごろの設定なので、ちょうど会話に登りやすいタイミングだったのでしょう。

 

2、オセロットの”二重思考ダブルシンク)”

 

 今作の最後の最後、実は目を覚ましたスネークは影武者で、本人はアウターヘブン創設のため何処かへ行ってしまっている…というオチでした。そして、当然オセロットも一枚噛んでいるのですが、そんなことはお首にも出しません。それもそのはずで、オセロットは”スネークが影武者である”という記憶を一時的に消し去り、そして都合の良い時に思いだすという、ほとんど人間離れした二重思考によって自分を欺いていたのでしが。

 そして、この二重思考というのは、1984年の中で言及されている思考法であり、党の不正を捏造する仕事をしていた主人公が、その”捏造した”という事実を忘れスパイとして告発されるのを避け、しかし仕事を続けるための思考法として使っていた物なのです。

 ただ、オセロットはこの後リキッドの人格を思い込みで移植したりしているので、やっぱり人間離れしているというか…

 

3、BIG BOSS IS WATCHING YOU

 

 メタルギア5の物語の中盤、マザーベースのなかにスパイがいる可能性に気づいたカズヒラは、隊員に「疑わしい人間は即時密告するように!」とのお達しを出します。この状況がすでに監視社会じみていますが、さらにカズヒラは、マザーベースの各所にポスターを設置しました。それが、スネークの顔が印刷され、「BIG BOSS IS WATCHING YOU(ビッグボスはお前を見ている)」という文章が書かれていました。

 はい、まんまです。BOSSかBROTHERかぐらいの差しかありませんね。

 

4、ヒューイへの”2分間ヘイト”

 

 メタルギア5の物語の終盤、実はスパイをやっていたのがヒューイ・エメリッヒ博士で、主には以下の容疑をかけられ、マザーベースで裁判をされます。

 

・スカルフェイスへの内通

・声帯虫の人体実験

・息子への虐待と妻の殺害

 

 だいぶ色々やってます。当然裁判中も周りから「殺せ!」という叫び声が聞こえまくっています。なんならプレイしているこちらも飲まれそうになる程です。

 で、実はこれと似た行為が1984年の中で行われています。この小説の中では、オーンスタインという、ヤギのような髭をはやした反逆者の映像を2分間テレスクリーンで放送し、全員でそれに対して罵声を浴びせるという「2分間ヘイト」と呼ばれる行為が行われます。目的としては、裏切り者の抑止、党のプロパガンダ、党員のガス抜きなど、結構いろんな意味を持つものでした。

 で、メタルギアに話を戻すと、このヒューイへの裁判が「プレイヤーも巻き込んだ”2分間ヘイト”の再現」のように見えます。実際、ヒューイの罪については諸説あり、またそれ以上に、罵声を浴びせまくっているマザーベーススタッフは傍目には恐ろしく映ります。しかし、この状況ではプレイヤーの我々もこのヘイトの中にいるので、全然気がつかないのです。もっともヒューイを擁護はできませんが…

 

 てなわけで、今回は「メタルギア5」と「1984年」の関連について語ってみました。

 

 実は「メタルギア5」にはもう一つ「白鯨」という小説も絡んでくるようなのです。また活字離れも起こしそうなので、次は読んでみようかな…