どうもエイトシーです。
以前、リメイク版の「トータルリコール」が結構面白かったと言うお話をしました。が、あのブログの執筆当時はリメイク前の初代「トータルリコール」を見ておらず、そこと比較したレビューをすることができませんでした。
んが、それももう昔の話。先日旧映画版も鑑賞しましたので、その感想を書き殴りつつ、「どっちがおすすめなのか?」を書きたいと思います。
・原作版
……と、その前に…実は私、トータルリコールの原作にあたる「追憶売ります」も読了していますので、そっちの話を先にしましょう。
世の中には、何種類か天才が存在するとされています。例えば、ゼロから1を作る天才、1を100にできる天才、100から90をたくさん作れる天才……などなどです。
この例えになぞらえて、「追憶売ります」についてのお話をするなら、これは「ゼロから1」です。
確かに、物語の基礎となる「自らの記憶」に関わる部分に関してはこの時点ですでに完成していました。しかし、それをドラマチックに見せるアイデアや、SF的な設定、そして「そもそも、リコールの記憶改変は本当に失敗しているのか?」などなど、映画二作で議論になっていた部分までは原作では描かれていない、あるいは意図的に描かれていません。ただ、物語のオチが、両映画版とは異なる、「チャン!チャン!」みたいなコメディ調のものでとても面白いので、そこは一見の価値があると思います。短編でそんなに長くないので、映画を見て気になった人は気軽に読んでみてほしいです。
ところで、一部では新版の映画の方が旧版より原作に近いと言われていますが、全然そんなことはありません。はっきり言って、原作、旧映画版、新映画版は全部全くの別物として楽しんだ方がいいと思います。
・旧版について
いよいよ本題です。
まず、作品の大きなテーマや流れについては、この旧映画版ですでに完成していたことを確信できました。
原作での大きなテーマである「記憶」に関する部分は特に原作から大きくパワーアップしており、意味深なラストシーンもかなり印象的ないい映画でした。
また、この映画は哲学的な描写だけではなく、シュワちゃんが動き回る最高のアクションシーンと、一度見たら一生笑っていられるような面白シーンなどなどでコッテリと味付けされているので、本当に最高に面白い映画でした。
強いて欠点を上げるとするならば、公開からかなり時間が経ってしまっているので、映像が流石に古めかしくなっている部分でしょう。ただ、この部分に関しても、むしろ最新技術がないのにこれだけ面白おかしなシーンに仕上げたという楽しみ方もできます。
また、作中後半で登場する謎の「エイリアン」の存在も、正直ちょっとわかりづらく、物語を楽しむノイズになっています。が、ひょっとしたらこれは原作を踏まえたオマージュかもしれません。気になった人は原作読んでみましょう。
・旧版を見た上で新版をもう一度語る
最後にもう一度新版について…
以前の感想時点では、そこそこいいSF映画として紹介していました。
ただ、今考えると、印象的なコメディ要素や、マッチョで大味なアクションシーンなど、旧映画版から取り除かれてしまった要素が多く、旧映画版を原体験とした人にとって物足りなさを感じるのも理解できるようになりました。それでいて随所で旧映画版の色を残し過ぎているので、完全に別物と割り切ってしまうのも難しく、どうしても二つの映画を比較してどうこう…という話になってしまいます。テーマ部分はともかく、お話の流れをもうちょっと逸らして、かつ小ネタもなければ別物としていい映画とか言えたのに……
ただ、現代的で、SF的に繊細な描写は、それだけで毛嫌いしてしまうにはあまりにも惜しいというのは、以前のレビューから変わってはいません。
・結局どれがいいの?
以上、「トータルリコール」という作品について、それぞれの感想を書いた訳ですが、結局どれがいいのか…
結論としては、
「今から見てみたい」という人に関しては、まず新映画版から見始めるのをお勧めします。
これなら、何の偏見もない、まっさらな状態で新映画版を楽しむことができるでしょう。
……ただ、本当に面白いのは旧映画版なので、新版を見終わった後は絶対に旧版も見ましょう。