どうもエイトシーです。
ここのところ……いや、あるいはずっとなのかもしれませんが、とにかく社会情勢が不安定です。今でこそコロナとロシアの話ばっかりですが、それ以前からも社会が安定していた試しはありません。
そして、そんなふうに社会が不安定になる度に、ある小説の売上が伸びると言われています。それが、ジョージオーウェルの「1984年」です。
私はこの小説結構好きなので、そのうちブログで書きたいと思いますが、今回は映画版を見たので、そっちの感想を書き殴りたいと思います。
・そもそも「1984年」とは
ぱっと見歴史小説みたいに見えますが、この小説が出版されたのは1949年くらいなので、この小説は近未来小説になっています。
主人公ウィンストンはオセアニア(現在のイギリス)という独裁国家で生活をしています。この国では「ビッグブラザー」と呼ばれる独裁者とその党が圧倒的な権力を有しており、全ての国民は「テレスクリーン」と呼ばれる、テレビとマイクがついたような機械で監視され、少しでも党に不満を言うと反逆者として処刑される……というディストピア小説の金字塔です。
この小説はかなり多くの創作物に影響を与えていて、私が愛してやまないメタルギアソリッドの5作目では、ほぼそのまんまモチーフとして利用されていたりします。
今回の映画版では、ハリー・ポッターのオリバンダーさんで有名なジョン・ハート氏が主人公のウィンストンを演じています。
・ポイント
まず、原作の再現度はめちゃくちゃ高いです。
小説で書かれたまんまのディストピア社会をそのまま映像として見ることができるので、結構ワクワクします。小説で想像するよりもよりリアルな小汚さが伝わるいい世界観設定をしていると思います。
また、ストーリーにも余計なアレンジは一切なく、素直にしっかりと映像化がされているので、すんなりと楽しむことができます。ストーリーをなぞる分には十分に楽しめる作品だと思います。
ただ……
映画という媒体上仕方がないことですが、映画の尺に合わせるためにちょっと控えめになった部分が結構ありました。そして、個人的にはその部分が結構大事だったような気がする訳です。
具体的には、オセアニアで話される言語である「ニュースピーク」のお話や、自分の思考を騙す方法である「ダブルシンク」、「ポルノ課」や、「作詞機」など彼らの詳細な生活様式を窺い知れる用語の解説、そして何より「2 + 2 = 4と言える自由」とは何かなどなど……これらがあるからリアルなディストピアを感じることができたのに……
しかも、これらが全カットされず、むしろほんの少し作中に残していたからこそ、ストーリーの流れを阻害してしまっているような気もしました。おそらくこの映画版を見ただけでは、主人公の彼女のジュリアが普段どんな業務を行っているのかが理解できなかったと思います。
また、「オブライエン」に関わる部分もかなり説明不足感が否めません。小説ではウィンストンの心情描写の中でオブライエンに関してどういう人物かを描いていたし、実際の交流も複数回あったのに、映画版では急に出てきて急に信頼されて…みたいにとても唐突に感じました。「暗闇なきところ」の意味が理解できないのダメでしょ……
・まとめ
・世界観は原作に忠実
・ストーリーをなぞるだけなら十分
・不足した詳細が本質だったんじゃ……
というわけで、今回は映画版の「1984年」についてのお話でした。
原作と映画版の乖離はやっぱりどうにも逃れられないみたいですね……なんとかうまい落とし所は無いものか…
……そうだ!!忘れてた!!
本作はグロ描写はほぼ無いと言っていいのですが、別な方が結構モロだしでやってるので、小さいお子様やご家族と一緒に観るのはよしときましょう。一瞬で場が凍りつきますので……