エイトシーのオタク語り

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行きどころの無いオタクの独り言

牙を剥いてきた「押井守」 「機動警察パトレイバー the movie」を見た話

 どうもエイトシーです。

 

 最近めっきり「パトレイバー」にどハマりしまして、アマプラのdアニメストアにも入ってロボアニメ三昧をしています。

 

 ……さてさて、そんな訳で今回はパトレイバーシリーズの記念すべき劇場版第一作目、「機動警察パトレイバー the movie」の話をしたいと思います。

 

 

 


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・牙をむく”諸刃の剣”

 

 さぁて、私はこのブログの中で度々こんなことを言っていました……

 

 

 

……押井守監督は諸刃の剣である」と……

 

 

 

eight-c.hatenablog.com

 

 

 

 詳細は↑の記事を読んでほしいのですが、一応おさらいすると、氏の作品は圧巻の映像美世界観が際立つ一方、難解なストーリー薄めのキャラクター造形、改変により人を選ぶ作品になりがちである……という特徴があります。

 

 私は前回の旧OVA版にて「今回はバランスがちょうどいい!おもしろい!」みたいな話をしていた訳です……

 

…………が…………本作ではとうとう氏が牙をむき始めました。

 

 今作、風景だけの長回しシーンが多数存在、主人公二名を差し置いて出番が数多くあるサブキャラ刑事の松井さんと片岡さんの存在、妙に凝った宗教のモチーフと一度では理解困難な事件の全体像、謎おおき犯人の人物像、動機ナドナド……

 

 OVA版よりさらに難解で、それでいて美しい映像表現、まさに「押井守」という感じのアニメ作品に仕上がっています。

 

 

 …つまるところ、前作で出来上がっていたバランスをかなり崩してしまったわけです……さてさてじゃあこのアニメは面白く出来上がっているのか………

 

 

 ……結論、面白いです!!!!

 

 

・迫力満点の作画

 

 まず、当然といえばそうですが、本作OVA版よりかなり作画に力が入っています。特にレイバーを使用した市街地、箱舟でのアクションシーンはとても見応えがあります。本作に登場するレイバーは”巨大ロボット”の中ではかなり小さめに分類されるサイズ感ですが、それが市街地で建物薙ぎ倒しながら格闘戦をするので、とにかく迫力があります。

 

 それ以外でも、押井監督らしい陰影の美しく際立ったシーンがとても多く、その演出が少し寂れたような街の雰囲気と相まって、静かなのにとてもインパクトを残す映像になっています。

 

 

・キャラクターもなかなか……

 

 本作、確かに旧OVA版やテレビ版と比べると少しキャラクターごとの特徴が少し薄味になっています。正直これは押井守監督の手癖なのでまぁしょうがないかなと……

 

 ただ、それでキャラクターの魅力が剥がれてしまったのか……と言われれば、そんなことはないと断言できます。

 

 特に、OVA版ではかなり無鉄砲に描かれていた遊馬が、今作では持ち前の無鉄砲で事件の真相に誰よりも切り込んでいくので、かなりヒーロー然とした遊馬を見ることができます。しかもただ無鉄砲なだけでなく、野明のことを彼なりに気にかけてあげている描写があり、本っっっっ当に珍しく優しげな遊馬を見ることができます。お前いいやつだったんだな……

 

 そして本作を難解にしている原因、本作の黒幕の帆場暎一(ほばえいいち)もかなり興味深いキャラクター造形です。

 

 物語開始時点で既に亡くなっており、詳細なプロフィールはおろか、劇中で彼が起こした事件の真相すら実際のところはよくわからないまま…という、考えようによっては投げやりすぎるともとれるキャラクターです。しかもアメリカでは名前のイニシャルをもじってエホバ(E・HOBA)とよばてたとか、しかもその呼び名が間違っていた(正確にはヤーウェ)と知って狂喜したとか…とにかくとにかく意味深さと不気味さだけを残すキャラクターです。おかげで考察で間を補完するという楽しみ方をする人も結構いるとか……なかなか興味深いので併せて調べてみてください。

 

 

 

・驚きの先見性

 そして、本作を語る上で欠かすことはできないのは、その先見性です。

 

 本作、レイバーに搭載される最新型OSである「HOS」へのアップグレードが事件の中心になります。

 

 ……さて、皆さんはおそらく↑の説明をおおよそ難なく理解できると思います。それもそのはず。パソコンやスマホが一般的になり、その中に搭載されているOSやアップグレードという概念も、現在では別段専門知識というわけではありません。

 

 が、この映画が公開されたのは1989年、スマホはおろかWindowsも一般的ではなく、PC98が一部限られた人々の間で利用されていただけでした。

 

 そんな時代に作られていたにもかかわらず、なんと「OSのアップグレード」を事件の中心に置いている……この先見性の高さは本当に驚くべきことです。正直AKIRAのオリンピックよりやばい未来予測だと個人的には思っています。

 

 

 という訳で、今回は「機動警察パトレイバー the movie」を見た話でした。

 

 いやー面白い!!!

 

 さすが押井守作品だけあって、レイバー(巨大ロボット)以外の部分でもとても魅力の引き立つ作品になっています。本作は攻殻よりよっぽど見やすいので、初心者の人にもお勧めできる映画だと思います。興味を持ってくれた方!ぜひ見てくれ!!

 

 

 さて、次回作、「劇場版パトレイバー2」の話でお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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