HGUC 1/144 RX-0 ユニコーンガンダム 2号機 バンシィ デストロイモード (機動戦士ガンダムUC)
どうもエイトシーです。
今回は、「機動戦士ガンダムユニコーン」に登場する、一番ややこしい物体にして物語最大のキーワード、「ラプラスの箱」についての解説第二段になります。完全に続き物になるので、ぜひ一度前回の分を読んでからこちらを読んでいただけると幸いです。
前回はこちら
前回は、宇宙世紀の開始と「宇宙世紀憲章」、首相官邸テロまでの歴史を振り返りました。あの時点で、ラプラスの箱には連邦が首相官邸襲撃テロに関わっているというスキャンダルの意味を持つようになりましたが、ここからさらにあの一文が意味を持つようになってきます。
…今回はかなりガンダム歴史解説に重きを置いていて、「ラプラスの箱」が登場するのは後半なので、どうか飽きずにみていただけると…
・ジオン公国の樹立と「一年戦争」の開戦
先に述べた通り、宇宙移民の実態は棄民政策で、貧乏人や社会的地位の低い人が多く宇宙に移民させられました。各スペースコロニーは植民地と同等の扱いになり、地球から一方的に重税をかされ、選挙権や自治権も持たない生活を強いられました。
そのような人々の不満が析出する形で、地球から最も遠いコロニー、サイド3が自治権の獲得を求めて独立戦争を開始しました。このサイド3こそがみなさんご存知「ジオン公国」であり、そしてこの戦いこそ、アムロ・レイやシャア・アズナブルが戦いを繰り広げた「一年戦争」です。当初は圧倒的不利に思われたジオン公国ですが、”汎用性に優れた最新兵器”の投入により、地球連邦軍と互角に戦うことになります……つまり、モビルスーツですね。
そして、宇宙移民者の間で、心の支えとして爆発的に流行していたある思想がありました。それが、「ニュータイプ論」です。
・「ニュータイプ論」の台頭
「ニュータイプ論」は、思想家でありジオン公国の首相でもあったジオン・ズム・ダイクンにより提唱された概念、思想でした。
この概念については詳細は正直諸説あるので、今回は外側をなぞるだけにしますが、この思想は、
「宇宙を生活圏とする人類は、宇宙に適応した進化発展をする。これにより、認識能力が発展し、深い洞察、優しい心を持つようになる」
というものです。大枠はこれで正しいはず…
この思想は、地球に拠り所のない宇宙移民者の間でブームになり、また「選民思想」と合わさることで、ジオン公国の中心的な思想になっていきます。つまり、ジオン公国では、「宇宙で生活する私たちが進化した新人類であり、全ての人類を支配するにふさわしい」というイデオロギーの根拠に、ニュータイプ論を利用していました。
しかし、この時点ではまだ”希望的観測”の域を出ていない、単なる”思想”に過ぎませんでした。
・「ニュータイプ」の”出現”と”不運な偶然”
しかし、ここで思わぬことが起こりました。「一年戦争」の勃発、そして新兵器「モビルスーツ」が投入され、宇宙空間の全方位戦闘、ブースターの高出力による高速戦闘よって、通常の人類をはるかに超える動体視力が必要になりました。結果、その戦闘によってそのパイロットの一部の空間認識能力が向上し、ほとんど予知能力とも取れるような進化を遂げることになりました。そう、ジオンダイクンが提唱していた「ニュータイプ」と同じ存在が偶然にも誕生してしまったのです。
これにより、「ニュータイプ論」は単なる思想ではなく、実際に起こりうる現象になってしまいました。公国軍だけでなく連邦軍のモビルスーツパイロットの中からも、続々とニュータイプになったパイロットが出現してしまいました。
さて、ここで、ラプラスの箱の本文を振り返ってみましょう。
「将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者達を優先的に政治運営に参画させることとする。」
…そうです、ここで語られている「宇宙に適応した新人類」というのが、偶然にも現実に現れた「ニュータイプ」と同じ意味を持つようになってしまいました。つまり、この時点でラプラスの箱には、「ジオン公国のニュータイプたちに自治権を認める正当性が存在している」、そして「連邦軍はそのことを意図的に隠していた」という意味を持つようになりました。すでに大規模すぎる戦争を起こしてしまったため、これはもうスキャンダル以上の意味を持つようになってしまいました。”祈り”として刻まれただけの文章が、連邦を覆す”呪い”になってしまった瞬間でした。
…というわけで、キリがいいので今回はここまでにします。次回はラプラスの箱の解放とその後について書くつもりです。もうちょっと長々書くので、是非お楽しみに!
続く!!