どうもエイトシーです。
私は小さい頃よく両親がツタヤやらゲオやらでDVDをレンタルして映画を見せてくれたのですが、ああいうところでレンタルすると映画始まる前に他の映画の予告が流れたりするんですよね……
…という訳で、今回は大昔に予告で見たきりずっと気になっていた映画を見たので、その感想を書きたいと思います。
・あらすじ
小児科医のキャサリンは、特殊な機器を用いて患者の精神世界に入り込み、直接接触することで患者の意識を回復する先端医療に関わっていた。ある時、連続殺人犯のカール・スターガーが彼女の働く病院に運び込まれた。FBIのピーター捜査官によると、この殺人鬼は女性を攫い、タイマー仕掛けで水が出る部屋に閉じ込めているらしい。しかし、犯人逮捕時に昏睡状態に陥ってしまい、このままでは女性が溺死してしまうのだという。キャサリンは、昏睡している連続殺人犯の精神世界に入り込み、女性が囚われている場所のヒントを探りに行くのだった……
・映像表現
本作一番の特徴は、その独特な精神世界の表現です。
本作の殺人鬼は、その生活態度や趣味趣向からは想像もできないほどハイセンスな精神世界を持っており、さまざまな絵画のオマージュに富んでいたり、どこかグロテスクで不気味さを持ちながらも色彩豊かで美しい世界が広がっています。個人的に一番やばかったのが、精神世界の王みたいなやつの背中にカーテンがくっついていて、その王が動くとカーテンが一緒に動いて翼みたいになる……いや文章じゃ伝わりづらいですね……ぜひ本編見てください。
先ほど↑で紹介したあらすじでは何だかサスペンスミステリーな雰囲気もありますが、本作はどちらかというとこの不思議で美しい映像を見るための映画です。……とはいえ、サスペンスミステリーの部分もちゃんと面白く、ただのアート映画では終わらない、ちゃんとストーリー的な見応えもある映画になっています。
・「悪人」とは…
もう一つ個人的に印象に残っているのが、本作のテーマの一つである「悪人とはいつから悪人なのか?」という部分です。
今作では殺人鬼のカールの内面に迫っていきますが、カールは根っからのサイコキラーという訳ではなく、元々父親から虐待を受けたことで徐々に精神が歪み、サイコキラーになってしまったと描写されています。そして、カール自身にも殺人行為に対して迷いがある訳ではなく、どちらかというと「やめたくてもやめられない」という部分が強調されています。この性善説的な悪役の描き方はかなり印象的で、序盤で恐ろしいサイコキラーだと思われたカールの中にまだ弱い子供な部分があることをとても効果的に表しています。それ故、ラストシーンではただのハッピーエンドに終わらない、少しやるせないエンディングも注目です。
という訳で、今回「ザ・セル」の感想でした。
本作の監督は他の作品でもかなり映像に力を入れているようで、「落下の王国」とかも気になっているので、そのうち観てみたいと思います。