エイトシーのオタク語り

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行きどころの無いオタクの独り言

焦燥的変身と鉄フェチのマリアージュ 「鉄男 The Bullet Man」を見た話

 

 どうもエイトシーです。

 

 もうすでにこのブログ内でも度々書いていますが、ちょい前に「シン・仮面ライダー」をみてきました……その時の愛憎交々はとりあえず以下のブログを参照頂くとして……

 

 

eight-c.hatenablog.com

 

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 本作で登場している緑川博士……いや、この例えだと観てない人伝わりづらいか……「シン・ゴジラ」の間邦夫博士……なんか首からタオル下げたちょっとマッドサイエンティスト寄りな博士いたと思うんですが……その博士を演じる塚本晋也氏は実は映画監督で、結構すんごい映画を撮っていたりしてました……

 

 という訳で今回は、「鉄男 The Bullet Man」を観た話です。

 


鉄男 THE BULLET MAN(字幕版)

 

・概要

 

 東京で働くサラリーマンのアンソニーは、妻と子供と一緒に穏やかで幸せな生活を送っていた。しかし、ある日突然謎の人物、”ヤツ”によって息子を轢き殺されてしまう。愛する息子を失ったことで生活は一変。息子を失った喪失感、妻の変化、変わらぬ仕事からのストレスによって、穏やかなアンソニーは少しずつ暴力的な感情に目覚めていく。すると、感情を抑えられなくなったアンソニーの体は、少しずつ”鉄”に変化してしまう……彼は何者なのか?……「鉄男プロジェクト」とは何なのか?……”ヤツ”の目的とは?……

 

 1989年に田口トモロヲ主演で公開され、世界各国の著名人に影響を与えたカルト映画「鉄男」から続くシリーズ3作目塚本晋也監督は”ヤツ”役で出演もしています。

 

 ……いきなり三作目なのは許してくれ……一番新しいから観やすかったんや……ストーリー的にもあんまり繋がりは無いし…

 

・好みの分かれる映像

 

 まずそもそも本作は”カルト映画”寄りなので当然に好みは分かれるのですが、特に本作で好みが大きく分かれるのは映像、カメラの演出部分でしょう。

 

 本作のカメラは結構手ブレが大きく、ちゃんとレール敷いたカメラで対照をしっかり捉えている映像ではなく、手ブレを気にせず手持ちのカメラをブンブン回しながら映像を撮影しています。他の映画と比較するとどうしても少しチープな映像に感じるかもしれません。

 

 結果映像としては動きが大きすぎてかなり観づらいです。で・す・が!!…他の映画ならいざ知らず、本作で一番重要なのは主人公アンソニーの”変身”なので、この手ブレまみれの映像のおかげでスピード感や緊張感が増幅され、さらに主人公の姿を繊細に写しすぎない、不気味な化け物として演出することに成功しています。なので、本作ではかなり効果的な演出だったのでは?……と思っています。まぁ好き嫌い激しい人はそもそもこんな怪しげな映画観ないし……ちょっとチャレンジしてみるのもアリかと…

 

 

・魅せる「焦燥的変身」

 

 そして、現代っ子私が本作で一番驚いたのが、本作には大規模なCG映像がほとんど入っていないということです。

 

 それじゃあどうやって化け物に変身するアンソニーを魅せているのか……それはつまり、「演出」「特殊メイク」です。

 

 本作でアンソニーが変身していく様子は、少しずつ役者さん本人に特殊メイクを施すことで表現されていて、CGでは感じられない、よりリアルな金属的人工物と生命体の融合を感じることができます。そのように特殊メイクで現実に造られた化け物が、手ブレまみれの映像の中に確かに”存在”している様子は、現代のCG第一主義の中ではまだ感じられないリアリティになると思います。

 

 さらに、本作のBGMも素晴らしく、シンプルなベース音を中心にしたBGMがより一層主人公が異形の怪物に変身していくことへの焦燥感を駆り立てていました。個人的には「シン・仮面ライダー」にもこの半分くらいは「変身に対する焦燥感」があっても良かったような……

 

・鉄フェチ

 

 そして何よりも本作において特徴的なのが、徐々に”鉄の化け物”へと変身していく主人公に、どこか「かっこよさ」のようなものを感じていくことでしょう。

 

 回転する歯車や動き続けるピストンを見た時のテンションの高まりというか……蒸気機関車が迫り来るような焦燥感とかっこよさの調和というか……そんなかっこよさが人間の生物的な部分と融合する……しかも、ギーガー的な表現とも少し違う、より鉄と油臭さ、重厚感、乱暴さを感じる人間の鉄化は、なかなか鉄男シリーズでは味わえないフェチ成分と言えるでしょう。

 

 この名状し難い鉄フェチでぶん殴られる経験のためにも、本作を見るだけの価値はあると思います。

 

 ……まぁ万人におすすめはしませんが……

 

 

 

 

 という訳で今回は、「鉄男 The Bullet Man」を観た話でした。

 

 いや、なかなか面白かった。

 

 今回私が観たのはシリーズ三作目なのですが、第一作目の方がよりカルト的人気が高いようなので、今度そっちの方も見てみようと思います。

 

 

 ……にしても塚本監督どえらい役で出てたな……

 

 

 

 

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