どうもエイトシーです。
突然ですが、皆さんはUFOを探したことありますか?
私はあります。
星が満天輝く夜空をちょっと夜更かしして見上げながら、期待とひとさじ不安の入り混じった気持ちで動く光点を探していました。
というわけで、今回はそんな子供の頃に少しだけ戻れるような……いや、あの時より幾分怖い寄りかな……とにかく、いい映画を見たのでそのお話をします。
今回は、「NOPE」を見た話です。
・概要
OJと父のオースティンは、映像撮影用の馬を調教、貸し出しする農場で仕事をしていた。ある日、馬の調教中、父のオースティンは”空から降ってきたコイン”に貫かれて死んでしまう。大黒柱を失った農場の経営は少しずつ傾いていった。そんな中、OJは脱走した馬を追って空中に”ある物”を見つけてしまう。OJと妹のエメラルドは決定的瞬間の撮影を求めて機材を集め出す……「未確認飛行物体」の正体は何か?、二人は決定的瞬間を収めることができるのか?
監督は、「ゲット・アウト」、「アス」などのホラー映画で有名なジョーダン・ピール監督。
・シンプルな恐怖感
本作で一番特徴的な部分が、空宇宙に浮かぶ「UFO」を用いた恐怖演出にあります。古来、UFOが登場する映画では、そのUFOがホワイトハウスを大爆発させたり、あるいは中から恐ろしいエイリアンが出てきたりなどなど……かなりわかりやすく恐怖感を演出する手法が取られていました。
対して本作…デカデカとビームを撃ってくるわけではない、中からエイリアンが出てくるわけでもない、なんなら直接生き物を攻撃したりする描写もなかなか出てこない、そもそもはっきりと姿を見せてくれないなどなど……上述したいわゆるUFO映画からはちょっと外れた恐怖演出をとっています。しかし、それゆえに本作は、目的もはっきりしない、正体も掴めない、なんなら見間違いだったような気もする、でも確かな違和感として作中でずっと付きまとう……そんなリアリティのある、ある種「かつてUFOを探していた少年時代の私達」に近い目線で緊張感、恐怖感を味わうことができます。形状もシンプルで本当に一瞬見間違いにも見えるからめっちゃ怖い…
・爽快感
じゃあ本作はホラー映画なのか?……と言われると、そうとも言い切れません。
本作に登場するキャラクターは、いかにもUFO来てるにも関わらず「決定的瞬間を撮影して大儲けする」という、ホラー映画どころか昔話ですら懲らしめられる側のキャラクターがほとんどを占めています。始終ノリノリでほとんど怖気付かないエメラルドや、肝心な時に限って急に頼もしくなるOJ、思った以上にいい働きをするエンジェルや、思った以上にトチ狂ってたホルストなどなど…主要な登場人物も全員かなりいい感じに”できあがってる”ので、ホラー映画よりもスカッと爽快に映画を観ることができます。特に、全員揃ってUFO……「ジージャン」に立ち向かう様子は、本当に寄せ集めヒーロー軍団の活躍を見ているようで、わかりやすく楽しむことができました。一瞬こいつら全員そこそこゲス寄りな目的で集まってるの忘れるくらい……
・深いテーマ性
そして一番興味深かったのが、本作のテーマ性に関してです。
ちょっとここの解説をすると長くなってしまうので今回は割愛しますが、本作は人種差別や格差社会、搾取などなど…結構重ためのテーマが奥底に隠れています。
正直本作はこのテーマ性を重要視するあまり、ちょっと見辛くなっている部分もチラチラあります。特に、急に挟まれる「ゴーディ」関連の話は、はっきり言えば、本筋の話を楽しむためにはノイズになりかねません。それでも、ちゃんとこのメッセージ性、テーマ性を持たせたまま、説教臭くさせず、ホラー映画としてちゃんと面白い作品に作り上げているのは、ジョーダン監督の手腕なのかな?…と思います。また、一度本作を見た後に、その”テーマ性”の部分を知ると、本作をより深く楽しむことができるので、そのように複数層にわたって楽しみ方があるのも、本作の魅力だと思います。近いうちにその辺の話もしようかな……
というわけで、今回は「NOPE」を見た話でした。
………劇場で見たかった!!!!!!!!!!
本当に当時劇場で見逃してしまったことを今は激しく後悔しています。本作のUFO描写は画面がデカければデカいほど映えたのにッ!!……後悔先に立たず、いつの日かまた劇場で見れることを祈りながら過ごそうと思います。
…ジョーダン監督の他の作品も見てみたいな……