どうもエイトシーです。
先日、現在絶賛公開中の映画「シン・仮面ライダー」を見に行ってきました。
まぁその時の感想やら愛憎交々は既に七千文字強のブログで書いているので、そちらを見ていただくとして……なんならネタバレ無しショート版も書いたのでそちらをより積極的に見ていただくとして……
あの映画のおかげで「仮面ライダー」という作品そのものにかなり興味を持ちまして、あの後になって石ノ森章太郎原作の漫画版「仮面ライダー」も読み終わり、今後はテレビ版も見てみようかな……なんて考えております。
…さて、そんな「仮面ライダーニュービー」な私ですが、そんな私にうってつけの映画がありましたので、今回見た感想を書きたいと思います。
今回の映画は、「仮面ライダー THE FIRST」を見た話です。
・概要
本作は、1971年に公開されたテレビ版「仮面ライダー」と、石ノ森章太郎原作による漫画版「仮面ライダー」を2005年に現代版としてリメイクした(原点回帰?とかなんとかも言われてますが…)作品で、登場する怪人や各種設定を引き継ぎながらも、デザインやリアリティライン、舞台設定を現代的に変更した作品です。
あらすじとしては、大学で水の結晶を研究する主人公本郷猛が、謎の秘密結社「ショッカー」に改造され、バッタの能力を持つ怪人「ホッパー」にされてしまう。ショッカーの戦闘員として悪事を働く本郷だったが、ある時に洗脳が解け、ショッカーに対して反旗を翻すことになる。しかし、ショッカーは次の「ホッパー」を生み出していて……
・……一旦褒めとこう……
…そうですね…まず「仮面ライダー」のデザインや、そのほか怪人たちのデザインはとても良いです。例えば「シン・仮面ライダー」の仮面ライダーは、原点であるテレビ版を意識したデザインがされていましたが、本作の仮面ライダーはよりスタイリッシュかつマッシブなアレンジがされていて、よりドストレートにかっこいいデザインになっていました。ヘルメット二段階でかぶるのめちゃかっこいい…
怪人のデザインに関しても、仮面ライダーと似た系統のデザインが採用されていて、「仮面ライダーは元々ショッカーの怪人として造られた」という設定をより強調しています。
また、原作再現要素もいい具合に散りばめられていて、本郷がノブやビーカーを壊してしまうシーン(ノブ≒蛇口はテレビ版再現、ビーカー≒グラスは漫画版再現)や、戦闘中の構えのポーズが変身ポーズっぽくなっていたりなど……テレビ版や漫画版を知っている人ならニヤリとできる程度のサプライズが用意されていました。特にコブラ怪人周りの漫画オマージュはなかなかいい意味で悲惨でしたね……うっかりワクワクしちまいました……
・“現代版“の功罪
…さああああて、酷評のターンですぞぉ!!!
はっきり言いますが本作、ライダーや怪人の出てくるアクションシーン以外はとっても微妙です。
細かいところを挙げるだけでも、疑似科学を研究する本郷とか、内容薄めな講義をする本郷とか、100パー怪しい本郷をみすみす見逃す警察組織とか、やっぱりそこまで人類のために戦わない本郷とかとか……ほとんど本郷周りだな…
そして本作で一番まずかったのは、“現代リメイク“として本作が出来すぎていた点でしょう。
…そうです、“失敗“しているんじゃないんです。“出来すぎている“ことが問題なのです……というわけで、ちょっと当時のことを振り返ってみましょう。
本作が公開された2005年当時、直前で世間では「冬のソナタ」が社会現象になる程ブームになっておりまして……本作のプロデューサーは「仮面ライダーで冬ソナをやる」とおっしゃっていたそうで……はい、本作、やったらめったらに恋愛描写があります。
本郷とヒロイン緑川のラブロマンス展開だけならまだしも、そこから一文字も巻き込んだ三角関係になったり、挙句全然関係なさそうな死にかけティーンの青春が脈絡なく挟まってきたり……本作の主題は完全に当時流行の「メロドラマ」であり、そこに乗っかりすぎた結果、アクションシーン以外がどうにもハマれない非常にもったりした映画になってしまいました。
…あるいはこれらのストーリー展開は冬ソナブーム真っ盛りの当時なら受け入れられたのかもしれませんが、令和も5年になった現代ではアクションシーンのデカいノイズになっているようにしか思われました。ほんのりストーカー風味な本郷の描写も気になりますし…
・「シン・仮面ライダー」と比較して…
さてさてさて、皆さん気になるのはズバリ「シン・仮面ライダー」と比較してどうなのか……という点でしょう。
…まず結論を言うと、私は「シン・仮面ライダー」の方が好きです。
……なんというか、私は正直両者ともにいい評価はしていないんですが、同じ「低評価」でもその内容がちょっと違います。
「シン・仮面ライダー」のまずい点は、原作オマージュや石ノ森他作品のオマージュ、庵野監督の独自設定などなどを、ろくろく精査せず全部適当に詰め込んじゃった部分にあります。逆に言えば、その個々の要素に関しては結構質が高いし、ストーリーもかなり練りこんであったので、部分部分では結構いい映画でした。
逆に「THE FIRST」の方は、映画としてのまとまりや、スパイス的な原作オマージュに関しては申し分ないですが、いかんせんそれで出来上がったのが「仮面ライダー風冬ソナもどき」だったので、全体を通した残念感が強めです。
……例えるなら、一流の素材をただ切って混ぜただけで硬め濃いめ多めのままボールに詰めて出した「シン・仮面ライダー」と、ぼちぼちな素材をちゃんと料理した結果味薄め雑味多めな料理になったのが「仮面ライダー THE FIRST」という感じ……でしょうか?
正直、両者ともに出来は良くないものの、どちらとも種類の違う出来の悪さなので、どっちかが嫌いな人はもう一方もダメ…みたいなことではないです。シンが面白かったから本作が面白いと思える訳じゃなさそうですし、逆に本作がつまらないと感じたからといってシンも同じようにつまらなく感じる訳ではないと思います。
というわけで、今回は「仮面ライダー THE FIRST」をみた話でした。
……うーむ、やっぱりテレビ版を見るか……
短めにまとまった仮面ライダー作品を探して本作を見たのですが……ちょっと期待外れでしたね…こうなったら大人しく当時のテレビ版をゆっくり消化していこうと思います。
……THE NEXTどうしよう…