エイトシーのオタク語り

エイトシーのオタク語り

行きどころの無いオタクの独り言

「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」を見てきた話と”最後の10秒間”の話

 

 どうもエイトシーです

 

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 見てきましたよぉ!!!!

 

 

 山崎貴氏が監督と務めると発表以来、公開前から「ALLWAYS三丁目のゴジラやら「ゴジ泣き」やらゴジラYOUR STORY」やら割と散々なことを言われておった「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」…公開日に観に行くことができたので、熱が冷めないうちにキーボードを叩きます。果たして面白かったのか?「シン・ゴジラ」やら「ギャレゴジ」と比較してどうだったのか?わざわざタイトルにつけた”最後の10秒間”とはなんぞや?などなど、完全ネタバレ有りで語ってみたいと思います。

 

ネタバレなし版も書いたので、まだ本編見ていない方はそちらをご覧ください。

 

 

eight-c.hatenablog.com

 

 

・まず率直な感想

 

 

 まず私個人の率直な感想としては……

 

 

 かなり面白かったです!!

 

 正直「ユアストーリー」の悪評がかなり気になってましたし、何より前作があの超大作「シン・ゴジラ」でしたから、それを超える映画になっているとは思えず、かなり不安入り混じって鑑賞しに行きましたが、全く杞憂でしたね。

 

 

eight-c.hatenablog.com

 

 

 何なら、シン・ゴジラ」と比較しても全く遜色ないくらいの名作映画として出来上がっていたと感じました。

 

 …しかし、全くツッコミ所が無かったかというと…まぁその辺はガッツリ語ってみたいと思います。

 

 個人的に点数をつけるならば90点くらい!!…といきたかったのですが……

 

 

 

 

 

注:この先ネタバレ有りになりますので、是非劇場に足を運んでから読んで下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・マイナスワン版ゴジラ

 

 まず、上映から度肝を抜かれたのが、ゴジラを一つも出し惜しみしなかったことです。

 

 シンゴジやギャレゴジなんかでは、主役のゴジラの登場を出し惜しんで出し惜しんで、やっと登場ドドドーン!!……みたいにしてましたが、今作はなんと開始から十分もしないでゴジラが登場しました。いや、別に出し惜しみが普通とは言いませんけど、直近2作が出し惜しみ系だったがためにいきなり結構びっくりしました。まぁそのせいで首都上陸のインパクトがちょい弱かった気がしますが…

 

 しかし一方、熱線を吐く描写は、最初は海中に潜ることで出し惜しみまして…そこからちょっと興味を惹かれていたら、背ビレが発光&変形からの熱線放射…おまけに熱線が着弾した地点から爆発する方式だったので、とてもインパクトが出ていました。ちゃんと、ギャレゴジ、シンゴジにも引けを取らない見事なキャラクターとして造形ができていたと思います。

 

 また、一度機雷で爆破された顔面が再生するシーンも、これまでと違う無敵の怪獣感が出ていてとても良く、おまけにその傷が再生しても微かに残っているのは…素晴らしいの一言ですね。

 

 

・人間ドラマ

 

 本作が最もシンゴジと離れていた点は、「人間ドラマ」の描き方にあります。

 

 本作では、主人公の敷島を筆頭に人間サイドのキャラクターを個々人としてとても際立たせており、特攻から逃げた敷島の苦悩や、仲間の全滅を見届けた橘の絶望、強く生きる典子やぶっきらぼうでも人当たりのいい秋津などなど…人との関わりを通じて「生きる」ことを考える、敷島の物語として出来上がっていました。キャラクターでは特に、隣の太田さんと橘が印象に残っていて、二人とも臆病な敷島に殺意くらい強い憎しみを抱いていましたが、最終的には二人とも敷島が”生きる”ことを許してくれた…というのが、ベタながらとてもよかったと思います。

 

 また、彼が生活する「戦後間も無くの日本」という描写も素晴らしく、最初はボロボロのバラックから、徐々に「家」と呼べるような場所ができ、軽口を叩きながら仲間たちと酒を交わし合う描写が、戦後間も無くのレトロな情景の中で行われていました。それこそ、「三丁目の夕日」を思わせる世界観描写で(お恥ずかしながら私はまだ見てませんが)、大戦から復興がすすんだレトロな生活を思わせる世界観描写は、とてもよかったと思います。

 

 そしてそんなレトロな世界観が、ぶち壊されていくわけです……

 

ゴジラ的アクション

 

 さて、本作のゴジラですが…私の想像をはるかに超えて暴れてくれました。

 

 今作ゴジラはあえて等身を小さくして作られているようで、ちょうど銀座の時計台より一回り大きいくらいのサイズ感でした。結果、復興直後の都心の建物を”大暴れで”倒してくれたので、シンゴジよりもダイナミックな都市破壊を見ることができました。

 

 おまけに本作、かーなり容赦無く、直接的に人⚪︎にが出ます。一番最初の大戸島に出てくるゴジラはバンバン人を齧って放り投げるし、都心に上陸したゴジラはガシガシ人を踏みつけていくし、じゃんじゃん建物を破壊して人を下敷きにするし…はっきり言ってめちゃくちゃ大満足に動いてくれました。このまま海外に出しても全く問題ないくらいの完成度だと思います。

 

 …てなわけで、都市破壊も素晴らしかったですが、さらに今作では、「海戦」もめちゃくちゃ最高でした。

 

 

・”大戦直後”設定と”海戦”

 

 本作、山崎監督の代表作「永遠の0」の影響を色濃く受けていまして(こちらもお恥ずかしながら未視聴なのですが…)、大戦直後という設定をうまく利用して、当時の兵器を出しまくっていました。

 

 私は兵器の方はちょっと疎いのであまり詳しくは書けませんが、それでも重巡タカオとゴジラの戦闘シーンはとてもドッキドキしましたし、最終決戦で山盛りの船がゴジラと戦いを繰り広げるのも興奮しました。

 

 さらに大興奮だったのが、戦闘機「震電」の登場です。いや、もちろん私はミリオタではないので詳細は分かりませんでしたが、「幻の海軍の秘密兵器で、何機かが試作されたが大戦に間に合わなかったのが奇跡的に一機残ってた」みたいな、なんかガンダムのMSVみたいな説明がバッチリ入っていたので、「あぁ、監督の趣味のシーンねw」とわかったので、もう笑っちゃいました。しかも、その”秘密兵器”の名に違わない独特な形状だったので、もうど素人の私も大興奮ウッキウキで見ることができました。きっとその辺の素養のある人ならもっとウキウキできたんだろうなぁ……

 

・伏線の雑さ

 

 さて、ここまでかなり絶賛気味だったんですが、ここからちょっと気になる点を…

 

 まず、全体の伏線がはっきり言って雑でした。

 

 橘さんが震電のコックピット後ろに何か見つけた時点で「パラシュートだろうなぁ」と勘付くだろうし、太田さんの元に電報が届いた時点で「典子生きてたのかなぁ」と勘づくし、秋津さんが「やったか!?」って言ったら「やってないなぁ」と勘づくし……

 

 もう伏線を貼ってる側から先の展開が読めてしまうので、はっきり言って物語の結末は予想しやすいものだったと思います。

 

 まぁ、別にゴジラ映画で濃密な伏線をみたい訳ではないだろうし、このくらいわかりやすくてシンプルでもいいじゃないか…そう思えるほど素晴らしい映画だったと言えます。

 

・セリフ

 

 もう一個気になったのが、どうも作中のセリフが個人的に気に入りませんでした。

 

 …なんというか、長い割には別に効果的ではないというか、折角「映画」という映像で魅せられる媒体なんだからもっと効果的な方法あったのにセリフにしちゃったところがあったというか…

 

 具体的には、大戸島の原住民の伝承に語られる「呉爾羅」の存在が、原住民から直接ではなく敷島の噂話として伝えられたり、敷島の「俺の戦争が…終わってないんです」のセリフがどうにも安っぽかったり、最後の作戦名がどうも「ヤシオリ作戦」のパクリっぽく聞こえたり、どうも観客には先の読める展開をわざわざセリフで説明したり…

 

 粗探しもいいとこな気がしますが、それでも、特に前作が「重厚に効率よくセリフをぶん投げる」スタイルのシンゴジだっただけに個人的にはどうしても気になりました。

 

 まぁ、それでもこんなのは些細な問題です。こんなの、本作の魅力を考えれば無いにも等しい問題でした。

 

 …ただ一点、どうしても私が納得いかなかった点があります。それが、”最後の10秒間”です。

 

・”最後の10秒間”

 

 さてさて、こんだけ引っ張った”最後の10秒間”ですが、一体どんな映像だったのかと言うと…

 

 

  1. 実は生きていた典子の首筋に、黒い不気味な物体が侵食していた。
  2. ゴジラの破片が鼓動を始め、実はまだ生きていることが示唆された。

 

 …はい、直前まで私は、「まぁ、敷島も助かって、典子さんも生きててハッピーエンド、いささかシンプルだが、そんなシンプルなゴジラもなかなかいいじゃないかぁ…」ぐらいのつもりでいました。それが一転、最後の10秒間のこの映像で、まだハッピーエンドになりきれていない可能性が示されました。いや、ゴジラが生きてるかも…くらいの事ならまだわかる…でも、典子さんが何かに侵食されてるのは、今後明らかに典子さんにとんでもねぇことが起こる伏線です。

 

 …いや、本作はそういう伏線とかない、見やすーいゴジラだったんじゃないんかい!?……この、邦画の悪いところ寄せ集めみたいなラストのぶん投げ伏線のせいで正直かなりがっかりしました。……思うに、製作陣の「『ゴジラ-2.0(マイナスツー)』も出したいな☆」…みたいな露骨で安直な考えで差し込まれたシーンなんでしょう……だったらもっと本編の伏線にも力入れんかい!!!

本編の九割でどシンプルドラマしといて何ラストだけ一丁前に不穏に終わらせとるんじゃい!!!……と、エンドロールでは怪訝な顔をしておりました。

 

 本当にね、昨今映画を作るのが経済的に難しいのは重々承知しておりますが、こっっっこまで露骨なことして折角の名作にケチつけるのはどうなんだい!?

 

 

 

 

 

 というわけで、今回は「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」を見てきた話でした。

 

 個人的な点数ですが、本編の九割九部は90点、最高の映画です。でも、ラストの10秒のせいで総合-15点くらいになってるのが本当に残念です。出来がなかなかよくて、個人的にも大好きな映画ゆえにとっても残念です。

 

 とにかく、それを差し引いても最高の映画なので、ぜひみなさん劇場で見てきてください。

 

 

 

 …もう一回行こう

 

 

 

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